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何かが懐かしい 米軍ハウスがもつ魅力
みなさんは「米軍ハウス」と呼ばれる家をご存知でしょうか?それは埼玉県の入間市などを中心に、昭和20年代から住み継がれている在日米軍用のための平屋住宅です。現在は日本人に向けて賃貸物件として利用されていることも多く、住みやすくおしゃれな家として絶大な人気を誇っています。住居として活用する以外にも、オシャレなカフェや美容院といった店も話題を呼んでいます。
古き良きアメリカの田舎町風景をのこす米軍ハウス住宅地は、頻繁に映画やドラマの撮影でも利用されています。今日はこの米軍ハウスについて詳しく見ていきましょう。
1.米軍ハウスの魅力
名前から想像すると、なんだか物々しい家を想像してしまいますが、米軍ハウスは古き良きアメリカを彷彿させるようなとてもオシャレな家です。また家だけでなく、米軍ハウスが立ち並ぶ街並みはレトロな空間が広がり、その街並みは日本とは思えないノスタルジックな雰囲気になっています。
1-1.そもそも米軍ハウスとは
米軍ハウスとは、名前の通り在日米軍のために用意された一戸建て住宅です。昭和20年頃の第二次世界大戦直後に集中して建設された平屋が多いです。この頃の日本の住宅も平屋が多かったのですが、米軍ハウスは日本の平屋と違い、真っ白な外観、広いバルコニー、大き目の窓やドアなど、まさにアメリカの文化を取り入れたオシャレな平屋として注目されました。日本人よりも体の大きなアメリカ人が住みやすいよう、平屋でありながら動きやすい動線が特徴です。天井も高く、広々とした空間で生活することができます。米軍ハウスはこの他にも「外人ハウス」「米軍住宅」と呼ばれることもあります。
1-2.国内にある米軍ハウスは?
米軍ハウスは新築物件として建てられることもありますが、米軍用住居として活躍してた本物の米軍ハウスがある地域もあります。代表的なのが東京都の福生市や、埼玉県の入間市です。
中でも入間市にある米軍ハウスの住宅街「ジョンソンタウン」は有名であり、テレビで取り上げられたり、ドラマのロケ地に利用されたりしています。ジョンソンタウンにある米軍ハウスは木造瓦ぶきでできており、1970年頃までは在日米軍が中心に住んでいました。その後は基地の返還や米軍の撤退などにより、リノベーションを繰り返しながら日本人向けに貸し出されるようになります。ここに住んでいた有名作家やミュージシャンも多く、米軍ハウスを利用した人は出世する、といった逸話も残されています。
2.米軍ハウスに住んでみよう
米軍ハウスは賃貸物件として貸し出されていることも多く、実際に住むことも可能です。建てられた頃の米軍ハウスは基礎がゆがんでいたり、断熱性もなくて寒かったりと、やや住みにくいこともあったようです。しかし現在賃貸物件として貸し出されている米軍ハウスの多くは、基礎の作り替えや構造補強など、大規模なリノベーションが行われた後の建物が多く、安心して住むことができます。
2-1.賃貸物件として利用が可能
入間市のジョンソンタウンにある米軍ハウスは、現在賃貸物件として利用も可能です。しかし人気が高く、貸し出したとたんにすぐ予約が入ってしまうこともあり、なかなか利用できないのが現状のようです。賃貸料の一例を見ると、およそ90平米の米軍ハウスの家賃は18万円です。これは入間市にある他の物件とくらべると高いと言えます。それでも人気なのは、米軍ハウスが平屋であり動線が動きやすくて住みやすい、外見も内装もオシャレ、そしてジョンソンタウン全体の雰囲気がとても良いと評価されているからです。同じ地区に住む人同士の仲も良く、コミュニティが盛んなため防犯意識も高いです。そのため小さな子供がいても育てやすい、まわりに公園もあって落ち着いて過ごせることから、子育て世帯を中心に人気の高い物件になっています。
2-2.米軍ハウスは建てることも可能
しかしわざわざ埼玉の入間市や、東京の福生市に行かないと米軍ハウスに住むことはできないのでしょうか。そんなことはもちろんありません。近年では米軍ハウスの良さが見直され、輸入住宅メーカーを中心に米軍ハウスを建てる人が増えてきました。
米軍ハウスは2階建て住宅もありますが、やはりこれぞ米軍ハウスと思わせるのは平屋であり、広いバルコニーや庭があった方がしっくりきます。そのため日当たりが良く、広めの土地に建てる人が多いです。輸入住宅を利用すれば昔の米軍ハウスで使われていた素材や木材を輸入して使うこともできたり、部屋のインテリアも歳月を重ねて味わい深いものが利用できたりと、理想の米軍ハウスを建てることもできるでしょう。
2-3.米軍ハウスの定義は?
米軍ハウスは「このような作り」といった厳密な定義はありません。しかし昔ながらにある米軍ハウスを見ると、次のような共通点があります。
- 平屋である
- 壁全体が白い
- 庭が広い
- 柵や、バルコニーなどが白い
- 内装はフローリング
- リビングはもちろん、廊下も広い
二階建ての米軍ハウスもありますが、厳密には中二階がリノベーションを行う際に建てられたことが多いです。米軍ハウスのような家を建てたい、住みたいといった方は、これらの情報を参考にしてみると良いかもしれません。
2-4.米軍ハウスに住むメリット
米軍ハウスは見た目がオシャレなだけでなく、住む人にとっての利便性も優れています。例えばリビングから別室に移る廊下もスペースが広く、通常のマンションの廊下とは違い、収納家具などを置くことも可能です。また二重窓や二重ドアとして設定されている米軍ハウスも多く、防犯性があり、冬は防寒性も高いです。また部屋は開放的な空間になっており、賃貸物件の場合は簡単なDIYであれば自分好みにリノベーションすることも可能なことが多いでしょう。他とは違う個性的な家に住みたい、町全体がオシャレな物件を選びたいといった人にはピッタリです。
3.商業施設として活躍する米軍ハウス
米軍ハウスは自宅として利用するだけではありません。仕事場として借りる人も多くいます。米軍ハウスはそのオシャレな見た目ゆえ、何か店をオープンするときなどは外観だけでも話題を呼ぶことができます。飲食店や美容店といった店はもちろん、ハンドメイドで何かを売ったり、ちょっとした事務所として利用することも可能です。
3-1.話題を呼ぶ飲食店
米軍ハウスで飲食店を開いている人も多いです。米軍ハウスはその独特なレトロ感が話題を呼び、家自体が宣伝になるため飲食店のPR効果も高いです。
飲食店の内容としては、イタリアンやフレンチレストラン、そしてオシャレな洋風カフェとして活躍している家が多いでしょう。米軍ハウスはもともと部屋の中も広い作りになっているため、店としての改装もしやすく、多くのお客さんを取り入れることができます。また庭が広くウッドデッキなども併設されていることが多いことから、オープンカフェとして営業している店もたくさんあります。飲食店の食事を楽しむのはもちろん、家そのもの雰囲気を楽しむために訪れるお客さんも多いです。また夜限定でオシャレなバーとして活躍している店もあります。
3-2.美容院ではレトロオシャレな雰囲気に
米軍ハウスを美容院や雑貨屋などのスペースとして利用している人も多いです。米軍ハウスはもともと窓が開放的で広いこともあり、少し手を加えるだけで店内が見渡せるステキな美容院などとして活用することができます。外から店内が見えることで何を売っているのかも分かりやすく、店内にお客さんがいることで宣伝効果にもなります。
美容院をはじめとし、ネイルサロンや洋服店、雑貨屋や音楽スタジオなど、米軍ハウスでは実にさまざまな業種がテナントとして利用されています。
まとめ
戦後の日本には数多くの米軍ハウスが存在していました。しかし在日米軍が撤退した後はその家も壊され、残った家も老朽化して淘汰されていきました。現在ある入間市や福生市の米軍ハウスは、地主の人が家を撤去するのが面倒だったり、在日米軍が偶然残ったりなど、さまざまな幸運が重なり残されたようです。
米軍ハウスは家自体にも魅力がありますが、その街並みにも大きな魅力があります。昭和20年代の面影や街並みを残したまま生活ができる街というのは、日本の中でも数少ない場でしょう。これからも歴史ある米軍ハウスを保護し、リノベーションしながら大切に使い続けていけると良いですね。