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断熱性が良くなった現代の住宅 北側の窓を取り入れることのメリット
北側の窓は冬の寒さを最小限にするために小さくするという傾向があります。しかし、昔とは違って今では、家の構造、床暖房、複層ガラスなど、家づくりの素材や技術が飛躍的に向上しています。
そのため、北側に窓を取り付けても冬の寒さを防ぐことは可能です。いまだに「部屋は明るく!」と窓を南側に設けるのが家づくりのモットーですが、明るすぎる部屋は逆に居心地のよくない部屋にもなることがあります。
今日は北側に窓を取り付けることのメリットや、その注意点などを詳しく見ていきましょう。
- INDEX
1.北側の窓は冬の寒さを防ぐために小さくするのが一般的
多くの住宅では、北側に玄関があることが多いです。そのため、戸建ての場合は2階の北側の部屋に小さな窓があったり、マンションの場合は、玄関近くに小さな小窓がついていたりします。東や南に比べると北側の窓はとても嫌われている印象がありますが、北側の窓は意外とメリットもあるのです。
1-1.風の通り道ができる
北側の部屋は年間を通して日が入りにくく、ジメジメとしていることが多いです。そのためリビングなどがあることは少なく、北にはお風呂やトイレなどがある場合も多いでしょう。
ただ、その北側にあるトイレやお風呂の窓を開けることで、風通しをだいぶよくすることができます 。通常多くの家では、南側に窓がたくさん設置してあります。しかし南側の窓だけを開けても、風が通り抜けることはありません。南側の窓と同時に北側の小さな小窓を開けることにより、しっかりと空気の通り道を作ることができます。
特に日本の場合、夏場は南から北へ風が吹く傾向があります。北側に一つ窓があるだけで、部屋の空気を入れ替えることができるのです。
https://www.ykkap.co.jp/madohint/summer/04/
1-2.夏は涼しくて快適
北側の部屋は、基本的に直射日光が当たることがありません。直射日光が当たらないということは、真冬はとても寒いことになりますが、夏は涼しくて快適です。例えば子供を昼寝させるとき、西向きの部屋にエアコンなしで寝かせてしまうと、熱中症の危険もあります。西日による輻射熱は部屋全体を暖め、夜になっても気温が下がりにくいという特徴があります。
その点北向きの部屋は直射日光が当たらないので、真夏でも比較的涼しい場所になります。南側と北側の窓をあけて風の通り道を作れば、夏でも快適に過ごせることもあるでしょう。
1-3.テレビ画面が見やすい
北側の窓からは直射日光が入ってくることがないので、テレビやパソコンの画面が見やすいです。
通常、テレビが置かれるのはリビングなど人が集まる部屋です。人が集まる場所は南側が多く、そこには南を中心とした東や西側に窓が設置されているでしょう。しかし、直射日光が入る窓がテレビのそばにあると、液晶画面に光が反射してテレビが見えにくくなります。
その点北向きの窓には光が差し込むこともないので、テレビ画面は1日中見やすくなります。これからテレビを設置しようという方は、
東南の窓からの光が邪魔にならないよう、北の窓側にテレビを置くことも検討してみてはいかがでしょうか。また、北にある部屋で北側しか窓がない部屋の場合、どの場所にテレビを置いても光の反射に邪魔をされないというメリットがあります。
1-4.家具が日焼けを起こさない
北側の窓は直射日光が入らないため、そこに置いてある家具や家電は日焼けをしません。家の中で起きる日焼けの影響は思いのほか大きいです。例えば西日があたる場所に大切な家具を置いた場合、長時間日光にさらされることに変色を起こしてしまいます。特にアップライトピアノなどは影響を受けやすく、日焼けによりピアノの音が影響を受けることもあるのです。
大切な家具や楽器などは、北側に置いておくのがおすすめです。冬は演奏をするときに寒いといったデメリットもありますが、日焼けによる変色などを防ぐことができるのは、北側の大きなメリットといえるでしょう。
1-5.視力的には北側の窓の光が優しいことも
あまりにもまぶしい光は、ときに視力にとって脅威になることがあります。視力にとって悪いもので有名なのが紫外線です。紫外線は日常生活においてあげる程度では問題ないのですが、
長時間にわたり紫外線を浴びていると目の病気を引き起こすことがあります。
例えば西日の当たる部屋で、ずっとテレビを見続けたりすることはないでしょうか。そのような生活を毎日続けていると、目に蓄積される紫外線の量は増え、白内障や黄斑変性(おうはんへんせい)症といった病気を引き起こすこともあります。
そして、暗いところから急に明るいところへ出ると、誰もが眩しさを感じるでしょう。しかし日の当たる部屋でも常に眩しさを感じたり、他の家族は何とも思わないのに自分だけ眩しさを感じる場合は、病気の可能性があります。視力のことを考えて北向きの部屋に移れとは言いませんが、常に日が差し込むような部屋に長時間いる場合は、たまに北側に移るなど、紫外線に気をつけましょう。
2.北側に窓を設置する際の注意点
年を重ねて視力が弱ってきた目には、北側の窓から入る光のほうが優しいと感じるでしょう。これから北側に窓を設置したり、家を建てたりする場合は、次のようなポイントを抑えてから北側の窓を設置するのがおすすめです。
2-1.断熱性が良い窓を選ぶ
部屋の温度に大きな影響を与えます。窓の素材が普通のものか、それとも断熱素材か、それが違うだけで部屋の気温が2~3度違うことも多いのです。
特に北側に窓を設置すると、すきま風がそこから入ったり、窓を通して外気温が内側に入り込んだりします。一般的なガラスを設置してしまうと、真冬には部屋の温度が急激に下がる原因になります。
断熱性の高い窓として「low-eガラス」と言われる製品があります。これは西日の強い日差しを遮ることで有名ですが、断熱性が高いこともあり、寒さをしのぐ効果もあります。これから北側に窓を設置する場合は是非断熱効果の高い窓を選ぶようにしましょう。
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2-2.近隣の視線を確認する
北側に窓を設置する場合、向かい側に家がある場合は 家の中が丸見えになる可能性もあります。日本の住宅の場合、その多くが南側にリビングがあるため、北側に窓を設置すると相手側から家の中をのぞかれてしまうのです。
ただ1階の場合は塀があることにより、視線を遮ることもできるでしょう。ただ、2階に北向きの窓をつけたり、場所に関わらず大きな窓を設置する場合は、どうしても周りから見られてしまうことが多いです。ご近所トラブルを避けるためにも、シェードを付けたり、窓の大きさや位置に配慮したりしましょう。
2-3.洗濯物を干すのには向いていない
北側の窓はあくまで優しい光を取り入れるのが目的であり、洗濯物を干すのには向いていません。家の構造上、北側に窓だけでなくベランダなどを設置するケースもあるでしょう。しかし北側は基本的に直射日光が当たらないため、年間を通して洗濯物は乾きにくいのです。また北側のバルコニーは、多くの人に見られてしまう位置です。何かを干すには向いていません。
2-4.断熱性が高い家に向いている
北側に窓があっても快適な家は、基本的に断熱性の高い家です。屋根や壁などにしっかりと断熱材が施されており、気密性の高い家なら、北側に窓があってもそれほど問題はないでしょう。
逆に、冬は常に家の中が寒いといった家の場合、新たに北側の窓を設置するのは向いていません。ただでさえ寒い家に窓を設置してしまうと、ガラスを通してさらに寒い空気が家に入りこんでしまいます。例えば築30年以上が経過していて、断熱材がいまの新築住宅に比べて十分ではない家の場合は、北側に窓を設置するのはおすすめしません。これから新たに北側に窓を設置したいという場合は、まず家の断熱性がどうなっているのか確認した方が良いでしょう。
まとめ
昔は嫌われていた北の窓も、温暖化で夏が異常に暑くなってからは、少しずつ見直されるようになりました。北側に窓があると冬は寒いイメージがありますが、夏は涼しい風を届けてくれるでしょう。また直射日光が当たらない点から、テレビが見やすかったり、目に優しいといったメリットもあります。すでに北側に窓がある家ならば、夏の間には空気の通り道として活用し、日焼け対策として大切なものを保管する場所にしてみるのがおすすめです。