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ウッドショックで家が建てられない!ウッドショックが起こった原因や現状&これからの先行き
国内では報道はあまりされていませんが、日本は現在ウッドショックという問題を抱えています。建築関係者、これから家を建てようとしている人にとっては死活問題でもあるため、どのようなものなのか詳しく説明していきます。
ウッドショックとは何なのか、その理由や影響、今後どうなるのか、今後できる対策などについてまとめていきます。
日本だけの問題ではなく他の国の影響も大きく受けているため、なにが起こっているのか理解していきましょう。
1.「ウッドショック」とは木材の不足による混乱のこと
ウッドショックとは、木材の急激な値上がりによって価格が高騰する、材料が入ってこなくなるということです。簡単に言うと「木材の不足」です。木材の急激な値上がりによって価格が高騰木材が不足しているため材料を手に入れることが難しく、入手したとしても金額が高くなっているというのが現状です。
日本では木造住宅が基本なため、住宅を建てる際には多くの木材が必要です。木材によっては金額が高騰し、従来の2倍以上の金額になっている種類もあります。
現在まさにウッドショック中であるため、これから先もっと入手困難になる可能性もあります。ではもっと詳しくウッドショックとは何なのか書いていきます。
1-1. 過去に例がないくらい木材が減っている
日本では過去にも同様に、木材が不足したことがありました。しかし今回のウッドショックと比べると一時的なものであり、ある程度の時間が経つと元の状態に戻っています。
しかし今回は木材が不足してから時間が経っており、この先いつ元に戻るのか先行きが見えない状況です。
木材がないと住宅を建てることができないため、工務店なども新規の受注をすることができません。予定が立てることが出来ず、依頼を受けることができないのです。
また、材料が不足すると金額が高騰します。現在進行形で金額が上昇しているため、取り合いになってしまっているのが現実です。
絶対数が減ると価格が高くなるのは仕方がないことです。しかしお金を出せば木材を手に入れられるかと言えばそうではありません。
必要な木材が日本にない場合、いくら高いお金を払っても手に入れること自体が難しいのです。
1970年代には「オイルショック」が起こりましたが、そのときは石油が不足して混乱に陥りました。トイレットペーパーが購入できないなど生活に支障がでましたが、ウッドショックはオイルショックの木材バージョンのようなものです。
1-2.木材が減っているため既に建築中の人も要注意
ウッドショックはこれから住宅を建てる人だけの問題ではありません。現在建設していても途中で材料が手に入らなければ、完成時期が遅くなることもあります。
通常であればいつ木材が入ってくるのかといった納期は分かります。しかしそもそも足りていない現状であり、予約待ちをしている状態だとイメージしてください。
いつ手に入れるのか分からない為、いつまでに完成という目途が立ちにくくなっています。
新築で住宅を建てている人の場合、一時的に仮住まいをしていることが多いです。住宅が完成しないためそのまま仮住まいを継続することになり、余計な費用も発生してきます。
材料によってはより入手困難になっているため、木材の変更、完成時期の変更など覚悟しなければなりません。
新しく建築予定だった人は時期をずらすことを視野に入れる必要がありますが、それは建設中でも同じです。
2.ウッドショックが起こっている理由
ウッドショックが起こっている原因は、アメリカの住宅ブーム、コロナ禍による巣ごもり、コンテナ不足の3つが主な原因です。アメリカの住宅事情は日本には関係がないと思われがちですが、グローバルな社会なため無関係というわけにはいきません。
日本は木材の仕入れを輸入に頼っているということもあり、他の国の事情やコロナ禍によって大きな影響を受けることになるのです。
では、ウッドショックが起こった主な理由をもっと詳しく見ていきましょう。
2-1.アメリカは現在空前の住宅ブーム
現在、アメリカでは空前の住宅ブームが起こっています。日本の感覚だと家は一生ものですし、人生で一番高い買い物と表現されることが多いです。
しかしそれはあくまで日本の感覚であり、アメリカは事情が違います。
アメリカでは家を住み替える文化があり、若い時に住む家、結婚して建てる家、老後の家など用途によって使い分けるケースが多くなっています。家を買い替えることがステータスの1つでもありますし、その時の生活スタイルによって住み替えをするのはごく一般的な感覚です。
現在、アメリカは低金利で家を建てられる状況です。コロナ禍で生活環境の変化から住宅や別荘を建てる人が多いため木材の使用率が高くなり、その代わりに日本で木材が不足するという事態が起こっています。
日本でも住宅建築の主要となっている木材をアメリカから大量に輸入していますが、日本に回ってくる分が少なくなっている、むしろほぼないというのが現状です。
アメリカは日本と比べると土地が広く、大きな住宅を建てるという特徴があります。人口も多いため必要な木材量が必然的に多くなるのため、国内需要が増え海外への輸出をする余裕がないのです。
2-2.巣ごもりでDIYをする人が増えた
現在、世界はコロナ禍によるパンデミックが起こっています。外出自粛や緊急事態宣言下での外出禁止など、国によって様々な政策が取られています。
世界的に外出する人が減っていますが、その代わりに巣ごもりをする人々が増えています。仕事にも行けずに自宅にこもる人も多数おり、そんな状況だからこそDIYをする人が増加しているのです。
長期間自宅で過ごすことになるため時間潰しという側面もあり、アメリカや諸外国でDIYが急増。住宅を建てる人だけではなく、それぞれ個人も木材を買うことになり、木材消費が更に多くなっているのです。
一般的にアメリカの住宅の庭は、日本の庭よりも面積が広いです。DIYをするにしても規模が大きく、多くの木材を使用することが多くなっています。
2-3.日本に回ってくるコンテナが不足している
コロナ禍により世界は大混乱に陥っていますが、それは物流や貿易でも同じです。当初はコロナ禍ということもあってコンテナの量を減らしましたが、巣ごもりによってコンテナの需要が急激に増えることになりました。
コンテナの数を減らしたところに急激に需要が増えて混乱、その後はコンテナ不足に陥っています。現在はコンテナをフル稼働させていますが、日本にはまだ多く回ってきていない状況です。
人口が多く需要の多いアメリカと中国の2ヵ国を中心としてコンテナを回しているため、日本向けのコンテナ確保が厳しい状況になっています。
ヨーロッパから木材を輸入することも出来ますが、ヨーロッパの木材もアメリカや中国を中心に輸出しています。
コンテナとは物流を送る手段であり、貿易には欠かせないものです。いくらに荷物や木材があってもコンテナがなければ日本まで運ぶことができません。
木材が少なくなっている状況下でコンテナ不足も合わさり、ますます日本へ木材が届きにくい状況になってしまっているのです。
3.日本がウッドショックから抜け出す方法
ウッドショックが起こると、思うように住宅を建てることができません。完成日もいつになるのか分からないためストレスも溜まりますし、業界の売上も落ちてしまいます。
建設業に関わる多くの仕事も減ることになるなど、デメリットばかりが目立ちます。では、どうすればウッドショックから抜け出すことができるのか、解決策などを紹介していきます。
3-1.すぐ効果のある解決策はない
結論から言うと、すぐに効果のある解決策はありません。ウッドショックはコロナ禍の影響を大きく受けていますし、貿易競争でもあるためすぐに改善することは難しいです。
アメリカや中国を相手にして、日本に多くの木材を輸入することは容易ではありません。
アメリカの住宅ブームが終わる、コロナ禍による巣ごもりが終わるなど、他の国の事情や世界情勢が変わるまでウッドショックが終わらない可能性もあります。
既に建築中、これから建築しようとしている人は業者からしっかり説明を受けましょう。木材を変更可能であれば変更する、部分的にコンクリートや金属を使うなどして対応していくこともできます。
使う材料を変更すると金額も変更になるケースが多いため、予算や建設予定などを比較して決めるようにしましょう。
いつウッドショックが終わるのかというのは誰にも分かりません。パンデミックも関係しているため予想がつきにくく、木材の値上がりもどこでストップするのかも分かりません。
世界的に争奪戦となっているためすぐに解消とはなりませんから、しっかり個々で考えるようにしましょう。
3-2.日本の木材需要を増やせば今後のウッドショック対策になる
日本は木材の約6割を輸入に頼っています。今回のウッドショックも輸入だからこそ起こったことであり、国内で十分な量を生産していれば起こりようがありません。
国内の木材を使って住宅を建てることもありますが、国内の木材は価格が高めです。消費者も安く家を建てたいのは当たり前です。そのため日本の木材を使った住宅は主流ではありません。
輸入した方が安く住宅を建てることができるため、日本の木材使用率は減少していきました。結果として日本の林業は衰退していき、大きく輸入に頼ることになっています。
林業が衰退していけば担い手も減り、木材を加工するシステムも機能しなくなっていきます。
つまり日本は、木材を輸入に頼ったため、国内の木材生産が衰退しています、
ただし、近年では日本の木材使用量の需要が増加傾向にあります。まだまだ微々たるものですが、少しずつ消費量は増えているのも事実です。
コロナ禍が終わっても、今後何があるのか分かりません。日本の林業が盛んになれば輸入に頼らなくても済むようになり、ウッドショックが起こりにくくなります。
すぐに代替えできるわけではありませんが、国内生産するための取り組みも一部では行われています。
4.ウッドショック中でも費用を抑えて住宅を建てるコツ
家庭の事情により、どうしても早く住宅を建設しなければならない場合もあります。家族の介護をする、住む家が無くなるなど、事情は家庭によって様々。
木材が高騰しているため高価になりやすいですが、工夫することで費用を抑えることもできます。余計な費用をかけない方法、ウッドショック中でも金額を抑えやすい方法を紹介していきます。
4-1.複雑な設計を避けて床面積を小さくする
住宅にはこだわりがある人が多いですが、複雑なデザインは木材を多く使います。ただでさえ金額が高騰しているため、コストを抑えたいのであればシンプルな造りの住宅にしましょう。
また、棚なども多く作らず、本当に必要なのかどうか検討して無駄なものは省きましょう。床面積が広いと当然木材も多く使うため、費用をおさえるために小さめに建てるというのも1つの手段です。
空間を広く見せるために天井を高くする、敷居をなくすなど、いくらでも広く見せる方法はあります。どうしても建設したい住宅デザインがあるのであればウッドショックが終わるまで待つことも必要ですが、可能であれば変更も検討しましょう。
4-2.梁を少なくするとコストダウンなりやすい
世界的に木材が少なくなってはいますが、その中でも梁に使う木材が品薄になっています。住宅における梁とは、家を支える大事な部分です。
荷重を支える重要な部分であるため、どの木材でも良いというわけではありません。梁に使う木材が世界的に不足しているため、梁が少ない住宅を建てるという方法もあります。
現在では隠すのではなく外に出して見せる「化粧梁」もありますが、梁に使う木材は高価。耐久性はもちろん見た目も変わってくるため検討しつつ、減らせる部分は減らしましょう。
ウッドショックはいつ終わるのか分かりません。ずっと待っていてもなかなか入荷できないこともあるため、これから住宅を建てるのであれば設計士とよく相談しておく必要があります。
木材の価格が高くなっているので当初の予定よりも金額が高くつくこともありますから、予算以内に収めるように工夫することが大事です。
5.まとめ
ウッドショックはコロナ禍と他国の事情、貿易事情などよって起こった木材不足です。世界的に木材が少なくなっているため入手が困難です。
そもそもの原因はコロナというパンデミックですが、いつコロナ禍が終息するのかは誰にも分かりません。
今現在よりも更に木材が高騰する可能性もありますから、住宅を建築中の人、これから建築しようと思っていた人は注意しておきましょう。
デザインや木材を変更できるかどうかなど相談し、入手困難な木材を避けるという方法もあります。ウッドショックはいつ終わるのか分からないため、いずれにしても後悔しないようにしておきましょう。