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キッチンの使い勝手は動線で決まる!理想を実現するキッチンレイアウトのポイント
住まいのキッチンを考えるとき多くの人は広さや高さ、収納や設備などを優先します。これらはどれも使いやすいキッチンを考える上でとても重要な要素です。しかし、本当に考えなければいけないのは単体での性能や使い勝手ではなく住宅の一部としてのキッチンの効率性です。
使いにくいキッチンで一番問題になるのは「動線」です。動線が整理されていないキッチンはとても使いづらく料理を刷るだけでストレスが溜まるばかりか危険性も高まってしまいます。
使いやすいキッチンを目指すとき、いったいどのように動線を考えればよいのでしょうか。
1.使いやすいキッチンとは
自宅のキッチンに求める条件としてトップに来るのが「使いやすさ」です。
キッチンは毎日かかさず使う設備です。使いやすいキッチンなら面倒な食事の準備もストレスを貯めることなく快適にこなせますが、使いにくいキッチンだとちょっとした作業をするだけでもプチストレスがたまってしまい食事の順部そのものが苦痛になってしまいます。
使いやすいキッチンといっても求められる条件はさまざまです。快適で使いやすさに優れるキッチンを実現するにはどこに注目すればいいのでしょうか。
1-1.作業負担は少ないほどよい
キッチンで何か作業をするに当たり負担は少なければ少ないほどよいとされています。少ない負担で用事がこなせるのは使いやすさそのものです。どれだけ負担を減らせるかによってキッチンの使いやすさは大きく変わります。
キッチンの作業負担というと野菜を切ったりフライパンで炒めたり鍋を洗ったりといった直接的な作業に伴う負担が思い浮かびますが、実際に発生する負担はそれだけではありません。引き出しを開ける、着火のためにツマミを回す、高いところのものをとるために手を伸ばすといったような細々した作業でも全て負担が発生します。
普段意識することは少ないですが固く開けづらい引き出しや反応の悪い着火ツマミ、背を伸ばしてもギリギリでしか届かない高い棚など細々とした部分で負担が大きいキッチンは実際の機能性異常に使いにくさが感じられます。
使いやすいキッチンをめざすならそういった部分にも配慮が必要です。
1-2.収納不足は不便を呼ぶ
キッチンで大きなポイントとなるのが収納です。
調理器具や食器、買い置きの食料品などキッチンにはしまっておくべき荷物がいっぱいです。十分な収納がなく表に荷物を出しておくのは見た目が悪いだけでなく動線の妨げとなり作業効率の低下を招きます。最近はキッチン専用の収納としてパントリーを設ける住宅が増えていますが十分な量の収納は使いやすいキッチンに欠かせない設備です。
1-3.必要に応じたキッチンデザイン
キッチンの使いやすさとひとくちにいっても使う人によって理想的な姿は異なります。
料理が趣味でたくさん作る人なら作業スペースが広くコンロも大火力のほうが使いやすいですが、ほとんど自炊をしない人にとってはオーバースペック過ぎて逆に使いにくさを感じる可能性があります。一人暮らしなのに大家族用のキッチンでは持て余し気味になりますし、掃除やメンテナンスの負担も気になります。
理想的なキッチンデザインはひとつではありません。家族構成や利用頻度、料理に対するスタイルなどによりふさわしいキッチンデザインも変わります。キッチンは大きければ、高級であればいいというものではありません。自分にとっての理想とマッチングしたキッチンこそが使い勝手に優れたキッチンです。
2.キッチンの動線を考える
キッチンデザインにおいて使い勝手に関わるもっとも重要な要素が「動線」です。動線は実際にその場に立って動いてみないと実感できないことが多く設計段階では軽視されがちですが、その家に住んで毎日キッチンを使うことを考えれば軽んじるべきでないのは明らかです。
理想的なキッチンを実現するために動線をどう考えればよいのでしょうか。
2-1.動線は使いやすさに大きく影響する
キッチンの使いやすさに最も大きく影響する要素である「動線」は住宅内において人が移動するために通る移動経路です。キッチンにおいては料理や片付けをするために動く道すじや範囲のことを意味します。
動線が長いと移動の手間がかかり使い勝手は悪くなります。短くてもゴチャついていると細々とした移動を強いられるためやはり使い勝手は悪くなります。どのように不便な動線を整理するか、それによりキッチンの使いやすさのほぼすべてが決まると言っても過言ではありません。
理想的なキッチンではスッキリと整理されていて最短距離で用事がこなせるように動線が設計されています。
2-2.トライアングル動線で効率化をめざす
キッチンの導線を考える上でキーワードになるのが「ワークトライアングル」です。
キッチン設備のうちもっと使われる頻度が多いのが「コンロ」「シンク」「冷蔵庫」です。調理スペースはコンロもしくはシンク脇に設置されていることがほとんどなのでこの3つの間の移動を効率化することが理想のキッチン動線につながります。
「コンロ」「シンク」「冷蔵庫」を結ぶ三角形のことを「ワークトライアングル」と呼びます。キッチンで働く様子をデータ化すると移動の9割以上がこの3つを結ぶ三角形の動線で行われていることがわかります。
平均的な身長の人が使うキッチンを想定すると三点それぞれの間の距離は120~250センチが理想的とされています。兵刃の平均的な歩幅は60~70センチなのでおおよそ2~4歩で移動できるのが理想です。これより近いと狭苦しく動線が混線してしまい、広いと遠さを感じて移動自体にストレスが生じます。
2-3.レイアウトで動線を整理する
動線を整理し使いやすくするにはキッチン全体のレイアウトを考える必要があります。
一般的に見られるシステムキッチンはコンロとシンクが並ぶ形で設計されています。ワークトライアングルを実現するには冷蔵庫をどこに配置するかが重要なポイントとなります。
冷蔵庫がコンロとシンクのあるシステムキッチンの背面にあると振り向いてほんの少し歩くだけで使えます。短い動線で用事が済みとても効率的です。冷蔵庫をシンクやコンロと平行に置くレイアウトもよくありますが、これだと平行移動で距離がのびてしまい必ずしも効率的ではなくストレスも溜まります。「コンロ」「シンク」「冷蔵庫」の全てを同列に並べず向かい合わせやこの地方のレイアウトに配置するとスッキリと動線が整理された使いやすいキッチンが実現します。
2-4.キッチンは家の奥に作ったほうがいい?
キッチンは家の奥に作ったほうがいいとされています。確かに家の奥にキッチンを配置すれば通路や通り道としてキッチンが使われることがなく、住宅全体の動線を考えると非常に理にかなっています。逆に言うと動線さえきちんと設計しておけばキッチンがどこにあっても生活に支障をきたすことはありません。
使いやすいキッチンを考えるなら料理や食事の準備以外を目的とする生活動線が入り込まないようにするのが大原則です。昔の住宅では水回りをまとめるためにキッチンの奥に風呂場を設ける設計もありましたが、風呂を使う人がキッチンを行き来するのはジャマでしか無く動線によって作業効率が大きく損なわれてしまいます。
重要なのはキッチンをどこに配置するかではなく、生活動線をどのように設計するかです。他の部屋や設備を利用するのにキッチンを通る動線を経由する必要がないように設計しておけばキッチンをどこに作っても使い勝手に影響はありません。
まとめ
キッチンの動線は日々の家事ストレスに大きく関わる重要課題です。高価な設備やおしゃれなデザインもいいですが肝心の動線がいい加減ではどんなに充実したキッチンも実用性にかけてしまいます。
今のキッチンに使いにくさを感じているなら動線が原因かもしれません。新築でもリフォームでもキッチンを新しく作るなら導線を再優先に考えてレイアウト設計してください。