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数世代で住み続けられる家を建てて得をする 長期優良住宅の条件とは
建てたばかりの家が快適なのは当然のこと。長い年月を経てもできるだけ心地よく住み続けたいものです。しかし日本の家は先進国の中でも劣化が早く、建ててから20年もすれば価値はなくなると言われています。
そこで政府は、スクラップ&ビルド型の社会から、「きちんと手入れをして長く大切に使う」というストック活用型の社会への転換をはじめました。それを目的として作られたのが「長期優良住宅」という住宅です。
長世代を超えて住み続けられる長期優良住宅とはどんな機能を備えた家なのでしょうか?今日は長期優良住宅のメリットやデメリットについて紹介します。
1.長期優良住宅とは何か
長期優良住宅とは簡単に言うと長く安心して住み続けられる家です。一般的な住宅よりも耐震性や省エネルギー性などの項目をクリアする必要があります。そのため施工費が高く工事にも時間が掛かりますが、基本的な性能は高く、バランスがとれた快適で長持ちする家になります。
1-1.長期優良住宅に当てはまる条件とは
長期優良住宅に認定されるは、主に9つの条件があります。これは数世代に渡って住宅の構造が使用できるよう、厳しい劣化対策が必要なためです。
長期優良住宅に認定される9つの条件
- 劣化対策
- 省エネルギー性
- 可変性
- 住居環境
- 住居面積
- 耐震性
- 維持保全計画
- 維持管理更新の寛容性
- バリアフリー性
例えば「省エネルギー性」の条件は「断熱性・気密性をはじめとする省エネルギー性が確保されているか」という点が条件となります。
また住む世代が変わったとき、部屋をリフォームする際に簡単に部屋の間取りを変えられる「可変性」なども求められます。これら9つの条件を満たした住宅が長期優良住宅に認定されます。
1-2.低炭素住宅も注目されている
ちなみに似たような住宅として「低炭素住宅」があります。
低炭素住宅は簡単にいうと二酸化炭素の排出量が少なくなるように建設された住宅のこと。地球温暖化が問題になっている現在、住宅からCO2の排出を防ぐ目的もあります。
低炭素住宅のメリットは高い省エネ性能があり、冷暖房費のランニングコストをだいぶ抑えることができます。また政府からの税金優遇処置も受けられ、所得税と登録免許税の優遇措置が受けられるほか、フラット35でも優遇金利が適用されます。
2.長期優良住宅にはこんなメリットがある
長期優良住宅は2009年にスタートした制度であり、まだまだ件数は少ないといえます。しかし地球温暖化が原因で多くの台風や長雨などが続いている現在、少しでも安心できる住まいを建てたほうが将来メリットは高いといえるでしょう。ここからは、長期優良住宅のメリットについて見ていきましょう。
2-1.長く安心して暮らすことができる
長期優良住宅と認められる条件は、先ほど紹介したように「バリアフリー性」「可変性」「耐震性」「省エネルギー性(断熱性等)」など、これから長く住むには優れている条件がそろっています。
例えば、子供が独立して子供部屋が空いたとき、多くの家ではそのまま空き部屋として放置してしまうのが一般的です。しかし「可変性」のある長期優良住宅なら、壁をすぐに外したり設置することも可能。子供部屋をなくして広いリビングにしたり、2世帯住宅のようにすぐリフォームすることも可能です。
また地震の多い日本において「耐震性」がしっかりと備わっているのも嬉しいポイントです。国土交通省が「100年単位で長持ちしリフォームもしやすい物件である」と言っている建物なので、長く安心して暮らすことができます。
2-2.税金の優遇措置が受けられる
長期優良住宅の大きなメリットが税金の優遇措置が受けられるという点です。以下は一般住宅と長期優良住宅における優遇の差を比べた表です。
税制の種類 | 優遇されるポイント | 一般住宅 | 長期優良住宅 |
住宅ローン減税 | 控除対象限度額 | 4000万円まで | 5000万円まで |
不動産取得税 | 控除額 | 1,200万円 | 1,300万円 |
登録免許税 | 税率
(保存登記) |
0.15% | 0.1% |
固定資産税 | 減税措置の適用期間
(戸建て) |
1〜3年間 | 1〜5年間 |
長期優良住宅の場合、例えば住宅ローン減税は一般家庭における控除額の限度は4,000万円までですが、これが5,000万円まで限度額がアップします。
また不動産取得税というのは、長期優良住宅の認定を受けるための標準的な性能強化費用相当額の10%を、その年の所得税から控除する特例措置です。強化費用の上限は650万円までとなっています。
2-3.金利も安くなる
長期優良住宅を選ぶと、フラット35Sの金利優遇を受けることができます。
そもそもフラット35とは、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している、最長35年の全期間固定金利の住宅ローンです。
長期優良住宅の場合、フラット35Sの「金利Aプラン」を選択すれば、借入当初10年間は、金利を年0.25%引き下げることができます。もともと金利Aプランは、当初10年間低金利で借りるプランですが、それに加えてさらに年0.25%引き下げることができるので、大きな優遇措置となります。
2-4.資産価値が高い
長期優良住宅は、長い間住み続けられる家なので、売却するときにも資産価値は高い傾向にあります。
例えば一般的な戸建て住宅の場合、20年もすると建物の価値はなく、売却するときは土地の値段でしか売れないことが一般的です。
しかし長期優良住宅は、それ以上の年数が経過しても耐震性や省エネルギー性などの性能が高く、建物としての価値が高いです。そのため売却するときも資産価値は高く、年数が経っても高く評価されることが多いです。
3.一方で長期優良住宅にはこんなデメリットも
長く住み続けることができ、資産価値も高い長期優良住宅ですが、実際に長期優良住宅を建てる人はまだ少ないのが現状です。その理由は、次のようなデメリットがあるからです。
3-1.当然ながら一般的な住宅より高い
一般的な住宅より高い機能性を持った長期優良住宅は、建設費用が高い傾向があります。長期認定住宅を受けるには、耐震性や耐火性など住宅における様々な性能を向上させる必要があり、建設費用自体が一般住宅に比べると高いです。その差額は一般住宅より2割ほど高いと言われています。
また住宅を建設するにも時間が掛かり、一般住宅よりも数週間~1ヶ月以上かかることも多いです。良い住宅を建てるには、やはりコストと時間が掛かるのは否めません。
3-2.点検費用や修繕費用も掛かる
長期優良住宅は、一般的に20年以上経過してもその資産価値はさほど落ちることはありません。これは長期にわたり、家の性能や機能を落とさないよう点検や修理をしているからです。
長期優良住宅には「維持保全計画」という認定基準があり、5年~10年ごとに点検・修繕が必要です。そのランニングコストは施工主が負担するものであり、仮に修繕を怠った場合は特定行政庁(地方公共団体)から改善命令が出されるケースもあります。長期優良住宅は建てて終わりということはなく、点検や修繕費用が掛かることは覚えておきましょう。
3-3.申請から認定まで手間と時間が掛かる
そして長期優良住宅を選ぶことのデメリットは、申請をしてから認定されるまでの手続きが面倒という点です。
長期優良住宅としての認定を受けるには、登録住宅性能評価機関で事前審査を受けた後、所管行政庁へ申請します。そこでは登録住宅性能評価機関が発行した「適合証」が必要となり、のちの審査で所管行政庁で認定されれば、やっと長期優良住宅の「認定通知書」がもらえます。
また、申請するときも認定手数料は数千円~数万円必要となります。申請が難しいうえ手数料が掛かることを考えると、いくら税金の優遇措置があるとはいえ、二の足を踏む人も少なくありません。
4.まとめ 長い目で見れば長期優良住宅はお得
地球温暖化が問題になっている現在、日本の家も長期にわたって住み続けられる、環境にやさしい家にシフトすることが必要です。
手続きの手間や修繕費用などの問題はまだあるものの、厳しい審査をクリアして長い間安心して住み続けられる長期優良住宅は魅力的な物件であり、今後もさらに増えていくことが予想されるでしょう。
今回の記事を読んで長期優良住宅に興味を持った方は、お住まいの認定申請窓口や所管行政庁で、ぜひ費用や条件をなどを確認してみてください。
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