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家の設備は高性能が良い?それとも家自体の性能を上げておくべき?
これからの新築住宅は、高気密高断熱のエコな家にすべきという声が上がっています。たしかに断熱性のある家なら光熱費のランニングコストが抑えられ、長い目で見るとメリットが高いでしょう。
しかし、家を建てるには予算があり、時には諦めなければならないものも出てきます。最初から備えておいたほうがいいもの、建てた後に時間をかけて備えればいいものはどのように判断すればいいのでしょうか?
ここでは、家を建てるときに高性能にしておくべき設備と、そうでない設備について分かりやすく紹介します。
1.家づくりで重視すべき点が変わってきた
これから新築住宅を建てる場合、あなたはどの点において重要視するでしょうか?
家を建てる場合、デザインや機能性、耐震性や設備の使いやすさなど、重視したいポイントはいくつもあります。しかし近年、とくに注目されているのが「エコな住宅」という観点です。
1-1.家づくりにおけるポイント 今と昔の違い
新築住宅を建てるにあたって、昔と今では求められる内容に違いがあります。
昭和時代の新築住宅に求められていたもの | 現在新築住宅で重要視されるポイント |
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人口が増えていた戦後の時代は、とにかく質より量で多くの家が建設されていました。戦後に建てられた家の多くは長くても30年程度しかもたなかったのです。
しかし人口が減っている現在、30年で建てては壊すといったやり方では生産性が合わず、環境問題が悪化したこともあり、エコな家に注目が集まっています。欧米のように100年間住める家を目指し、災害時にも強い住宅が注目されています。
1-2.国をあげてZEH(ゼッチ)住宅がすすめられている
ZEH(ゼッチ)住宅とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House)の略であり、年間のエネルギー収支がゼロになる住宅です。具体的には、太陽光発電を取り入れて自家発電を行い、高い断熱性を保つことで冷暖房をつけなくても快適に過ごせるような家のことを言います。
地球温暖化や環境破壊が地球レベルで問題になっている現在、日本政府もZEH住宅の普及に乗り出しています。これから新築住宅を建てる場合、高機能で便利なZEH住宅での選択肢が増え、昔ながらの建築方法は減っています。
1-3.ZEH住宅を前提にして考える
ZEH住宅は、一般的な住宅の建築費用より、1割程度高いと言われています。そのため、これから家を建てる人のなかには、ZEH住宅を拒むケースも少なくありません。
しかしZEH住宅には次のようなメリットがあります。
- 光熱費が削減され年間の電気代などのランニングコストが減る
- 非常電力を蓄えられるため災害時でも安心
- 売却に有利になる可能性がある
- 家の中の温度変化が少ないため健康的に暮らせる
ZEH住宅は高い断熱性があるため冬でも家の中は暖かく夏は涼しく過ごせます。冷暖房を過度に使わなくても快適に過ごせるため、ヒートショックなどのリスクは少なく、電気代もさほど掛かりません。
ZEH住宅を建てなくても、今後は上記のメリットを考慮した家づくりが大切です。それを踏まえると、おのずと高性能にしておくべき設備と、そうでない設備が見えてきます。
2.重視すべき家の設備を紹介
国は2020年には新築住宅のおよそ半分をZEH住宅にするという目標を掲げており、実際にハウスメーカーの注文戸建住宅においてその目標は達成されています。
今後もその方針は継続されるので、予算があればZEH住宅にすることがおすすめです。しかし予算の都合などでそれが出来ない場合は、ZEH住宅に近い設備を優先すると良いでしょう。ZEH住宅を実現できる設備を優先することにより、光熱費が軽減され、どの季節でも快適に過ごせる家にすることができます。
2-1.窓の断熱性は最初からグレードアップを
まず優先的にコストを掛けてほしいのが断熱の設備です。とくに家の断熱性にもっとも影響を及ぼすのが窓であり、窓の断熱性を上げることにより家の快適性はグンと上がります。
例えば従来のアルミサッシと、近年人気の樹脂サッシなら、コストをかけて樹脂サッシを導入しましょう。樹脂サッシは昔ながらのアルミサッシの窓に比べ断熱性が非常に高く、冬の窓からの熱流出は3割近く減ると言われています。
また、断熱性の高いガラスを入れることで、高断熱の家に近づきます。窓の断熱は今後の家の快適さに直結するので、最初から高性能にすべき設備です。
2-2.安全性の高い断熱材
窓と同様に、壁や屋根に使われる断熱材にも注目しましょう。家電製品などにお金をかけるのなら、最初からグレードの高い屋根材や壁材を選択し、断熱性がありつつ災害にも強い家にすることが大切です。
そして、自分で断熱材の種類を選べる場合には、以下のポイントを押さえましょう。
- 燃えにくい素材がどうか
- 火災が起きた際に有害物質が出ないかどうか
断熱材の多くは外気の気温からしっかりと守ってくれますが、火災が起きたときに有害物質が出るかどうかも押さえておきましょう。火災でなくなる人の多くが、有害な煙を吸い込むことによって亡くなっています。
参照 https://house.home4u.jp/contents/house-20-4599
2-3.状況に応じて防音性能も上げておく
家の設備で意外と盲点なのが、音の問題です。次に当てはまる場合は、家を建てるときに防音性能を高めておくと安心です。
- これから子どもが生まれる予定がある
- ピアノなど楽器を置きたい
- 隣接している家がある
- 幹線道路や工場などが家の近くにある
音のトラブルは生活に直結し、近隣との軋轢を生むことも多いです。ちなみに窓を樹脂サッシにして断熱性の高い窓ガラスを入れることにより、一般的な窓よりだいぶ防音性も上がります。 真空ガラスや複層ガラスなどを取り入れ、家の断熱性を上げるとともに防音性にも配慮していきましょう。
2-4.生活に重要なエクステリア
エクステリアとは家の外に置くインテリア、つまり塀や玄関アプローチ、駐車場の設備などを言います。
エクステリアは生活に直結しないと考える人が多く、後回しにされがちです。しかし塀を設置しなかったために外から丸見えになったり、車止めを設置しなかったため駐車時にぶつけてしまったりと、トラブルが起こる原因にもなります。プライバシーや安全性を考慮し、必要最低限のエクステリア設備は最初から準備しておきましょう。
3.後回しにしても良い家の設備とは
上記のように、最初から備えておいたほうが良いものがある半面、建てた後に時間をかけて備えればいいものもあります。ここからは、生活しながら後で備えたほうが良い家の設備について紹介します。
3-1.太陽光発電より断熱性の設備を
ZEH住宅では太陽光発電を設置することが一般的ですが、予算の関係で難しい場合は太陽光発電を後付けするのも良いでしょう。
10年ほど前の太陽光発電システムは、設置費用に300万円ほど掛かることもありました。しかし現在では高性能で価格を抑えた太陽光発電システムが開発され、設置費用はその半分程度で済むと言われています。
今後太陽光発電システムはさらに改良されることが予想され、設備費やランニングコストはさらに下がる可能性があります。太陽光発電を含めた家電などの設備機器は資産価値が低いため、はじめから無理に設置をすることなく、後付を検討しても良いのです。
参照 https://solsell.jp/media/414/
3-2.バストイレなどの高機能設備
家を建てる際、多くの人を惑わすのが設備のグレードです。
とくに食器洗い乾燥機や、バストイレの高機能設備は「最初からいいものをつけた方が電気代や水道代が浮く」といった宣伝に惑わされます。
それはあながち嘘ではないのですが、多くの場合保証期間は5~10年程度です。 つまりどれだけグレードの高いものをつけても、5年後に故障したらまた同じようなコストをかけて設置する必要があるのです。
水回りの設備は時間を追うごとに進化します。生活するうえで不便を感じたら、新しくて良いものを設置すれば良いでしょう。
3-3.家電製品全般
家を建てる場合は、家電における予算も検討しなくてはなりません。はじめから良いものをつけても、上記のバストイレの高機能設備と同様、時間経過とともに故障したらまた買い直さなくてはなりません。
しかし、エアコンなどの冷暖房設備は、ある程度グレードをあげないと電気代のランニングコストが高くなります。設置する場所によっても最適なグレードは変わってくるので、購入の際は家の間取りを持参し、見積もりのときにしっかり相談しましょう。
4.家を建てる際には優先すべき設備を考えよう
最新鋭の水回り機器や家電が整った住宅は、建てた当時は最先端でも、数年経ったら型落ちになります。家電製品やトイレバスなどの設備を優先して省エネを選んだ場合、一見お得に見えても資産価値的にはさほど高くはないのです。
優先すべき設備は、家電や太陽光発電ではなく、家自体の断熱性や耐火性、耐震性です。今後はZEH住宅が主流になりますが、予算の都合でZEH住宅が難しい場合、まずは断熱性だけはZEH基準に合わせて建設しましょう。その後住みながらタイミングを見計らい、太陽光発電や、グレードの高い設備を取り付けるのがおすすめです。