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2022.11.25

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ヒンプンとは?家と家とのプライベートスペースを緩やかに繋ぐコツ

分譲地やマンションでは、近隣の住民同士がコミュニケーションをとれるよう、コモンスペースのある場所が増えています。戸建て住宅の場合も住民同士がコミュニケーションをとれる余白を作ることで、その地域はより魅力的になるでしょう。とはいえ、コモンスペースと家がダイレクトにつながるのでは、ちょっと落ちかないかもしれません。

コモンスペースとプライベートスペースの緩やかなつながりを作るには、程よい目隠しになる沖縄のヒンプンを参考にしてみるとよさそうです。ここでは沖縄にある伝統的な建設物であるヒンプンとは何か、そしてヒンプンを参考にしてできるプライベートスペースの確保についてご紹介します。

1.沖縄にあるヒンプンとは?

ヒンプンとは、沖縄の古民家でみかける石でできた壁のことです。

主に正面玄関の入り口前に設置され外から中が見えないようになっています。もともとは中国の屏風(びょうぶ)から来ているものであり、ヒンプンの漢字も屏風と書きます。沖縄の古民家は基本的に玄関がなく、広い縁側のようになっているのが特徴です。何もしないと、外から家の中が丸見えになってしまいます。そのため、程よい目隠しとして存在するのがヒンプンです。

1-1.ヒンプンは目隠し+魔よけの意味もある

ヒンプンは家の中を覗かれないための目隠しでもありますが、それと同時に魔除けの意味もあるそうです。沖縄では「魔物は曲がることが嫌い」という言い伝えがあり、ヒンプンを建てると魔物は曲がってから家に入らなくてはならないので、魔物よけになると信じられてきました。また、頑丈なヒンプンは魔物を跳ね返す効果があると言われています。

1-2.台風よけの効果も

台風が多い沖縄では、家が飛ばされないように屋根は大きく、家屋は低く作られています。全体的に風の影響を受けないよう建設されており、石でできたヒンプンも家が台風の被害を受けないよう建てられた説もあります

またヒンプンではその昔、男性は右側を通って入り、女性は左側を通って入るのが望ましい、というルールもありました。

沖縄の伝統文化の象徴でもあるヒンプンですが、車の普及が進むにつれ、その存在は邪魔になり、いまではほとんど見かけなくなっています。しかし、家の外とプライバシーを緩やかにつなげるツールとして、現代の建築技術にも大きな影響を与えています。

2.ヒンプンを参考にプライベートスペースを確保しよう

ヒンプンの多くは人の高さほどであり、横幅もさほどありません。そのため完全にプライバシーを確保するものではなく、外部と家の内部を緩やかに繋げる存在でもありました。

現代の家でも、あまりに大きな塀を立ててしまうと、外からの侵入は拒絶といったイメージがつくでしょう。ヒンプンのように、ほどよい高さと大きさで緩やかなプライバシーを確保することが、外部との距離感を上手に保つ秘訣です。ここからは、戸建て住宅におけるヒンプンを参考にしてできる目隠しについてご紹介します。

以下参照 https://konoie.kaitai-guide.net/shinchiku-mekakushi/

2-1.低めのフェンスを立てる

大館住宅のプライバシー確保に最も多く使われているのは目隠しフェンスです。センスには多くの種類があり、ポピュラーなものだとアルミフェンス、デザイン性の高い木目調フェンス、日の光を遮らないすりガラス調フェンスなどがあります。

いずれも玄関前や道路側の気になる場所、隣家との境界線やカーポートなどに設置すると良い目隠しになります。 

近年の戸建て住宅においては家の周りに何も設置しないオープン構造も増えています。しかし人通りの多い場所に面した家の場合、ある程度フェンスを立てないと外部の視線が気になってしまうでしょう。

2-2.塗り壁塀

塗り壁塀は、ブロック塀やコンクリート壁の表面を、しっかり塗料で固めた塀をいいます。アルミフェンスなどに比べると費用は高くなりますが、家と同じような素材のエクステリアなので全体的に馴染みがよく、違和感もありません。

高さのある塗り壁塀にしてしまうと圧迫感が出ますが、ある程度高さを調整したり、ガラスをはめるといった工夫をすると閉塞感は出ません。家全体のバランスも整うため、玄関先に設置する人も多いです。玄関の好きな場所に好きな高さで設置しやすいので、最もヒンプンに近い目隠しと言えるでしょう。

2-3.シンボルツリーや生垣で自然な目隠し

家の外側と内側を自然に分けたい場合、植樹を利用するのもおすすめです。

まずは「シンボルツリー」と呼ばれる玄関先に植える木です。シンボルツリーは「その家で健やかに暮らせるよう願いをこめた樹木」の意味合いもありますが、高さや設置場所を工夫することにより、外側からの目隠し効果があります。

また「生垣」は昔から人気のある目隠しです。道路と庭の間に生垣を植栽すれば、無機質な印象を与えず、目にも優しい効果に期待できます。庭の手入れが好きな人にもおすすめです。

2-4.竹垣で和風の目隠しもおすすめ

和風の目隠しとしておすすめなのが竹垣です。いまではあまり見かけなくなりましたが、最近では「人工竹垣」が利用され、雨や日光に強いうえ、メンテナンスも不要な素材として注目されています。

竹垣は圧迫感がないのがポイント。背が高く隙間が少ないのに、日本人には馴染みのある植物だからこそ違和感がありません。しっかり目隠しをしつつ、雰囲気の良い目隠しを設置したいといった人にもおすすめです。

3.ヒンプンのようなコモンスペースが重視されている

沖縄のヒンプンは、屋敷の内側と外側の仕切りの役目があります。ただしその境界線は緩やかで、プライバシーを守りつつ、外の人とのコミュニケーションも図りやすいです。

日本では核家族や一人暮らしが増えていますが、全く外部の人とつながりがない世界ではうまく暮らしていけません。とくに集合住宅においては、ほかの入居者とのコミュケーションを図ろうとする仕組みに注目されています。

3-1.マンションでコモンスペースが増えている理由

コモンスペースとは、居住者同士が使用できる庭や道路、部屋などの共有空間をいいます。昔の団地では敷地内に公園がある程度でしたが、近年ではエントランススペースやシアタールームなど、多くの人とかかわりが持てる場所が増えてきました。

これにより子育てをするうえで多くの大人が子供を見守れる、災害時に住民同士が助け合うことができる、といったメリットがあります。

3-2.「孤立」や「孤独」の社会問題を解決

単身世帯が増えている現在、住宅選びにおいてはプライバシーを尊重されることが多いです。しかしあまりにもプライバシーを優先して他の人との関わりがないと、孤立や孤独といった問題が起こります。特に高齢者の一人暮らしでは孤独死の問題が浮き彫りになり、ある程度プライバシーを確保しつつ「共生することも大切」ということが分かってきました。

沖縄のヒンプンはプライバシーを確保しつつ他人との関わりもできる塀です。地域とうまくつながるためにも、ヒンプンのような程よい仕切りが必要といえるでしょう。

4.まとめ

近年の戸建て住宅は、敷地を塀やフェンスなどで囲わないでそのままにする「オープン構造」が流行っています。しかし全く目隠しがないと外部から家のなかが覗かれてしまい、思わぬトラブルが生じることもあります。

反対に敷地の中をフェンスや塀で完全に覆う「クローズ外構」では、人目につかないものの外部とのコミュニケーションが取れず、孤立化につながることもあります。

どのような目隠しが良いかは、それぞれの判断やライフスタイルによって変わります。しかし、程よい目隠し効果と外部とのつながりが持てる沖縄のヒンプンには、これからの社会をうまく生きるヒントが隠されているのかもしれません。

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